天保異聞 妖奇士 説十四

「芸者は客に泡沫の夢を与える」
前回の『胡蝶の夢』はこういう繋がりだったのね。
泡沫の世界でも、「其処」に居る間は泡沫だなんて分からないし――そもそも現(うつつ)が「泡沫の夢」ではないと断言出来ないし。
時も丁度『黒船来航』の直前。
Wikiによると、『閉じた系』=鎖国だった日本に『黒船』という「外」の因果が組み込まれ『開いた系』になった時代。
日本が『ディリクレ世界』から『ノイマン世界』へと変化した、まさに泡沫の時代だしね。

河鍋狂斎も『異界』を観たのかッ!
川を流れていた生首は『飛頭蛮』の一種だったのか? それとも、あの異様な状況が異界と繋がったのか・・・?
一般的には 女郎=可哀相 というイメージ。
だけど狂斎が言う通り、ポジティブに考えれば・・・良い服が着れて、良い酒と良い飯が食べれるし、暖かい床で寝れて自分で男を選べる。
しかも28になれば晴れて自由の身と、飢餓に苦しむ百姓や小間使いで終わるよりよっぽど良い暮らしを送れる
――だが価値観なんて人それぞれのモノ。
確かに衣・食にこだわり、抱かれる事を苦と思わない女性なら天国だろう。
だけど、それらに価値を見出せず、貞操観念が強い女性はどうなの?
そもそも平均寿命が40〜50才*1の時代に、三十路近くで自由になれても・・・ねぇ?
・・・だから『蝶』が頻繁に出てきてるし。

蛹(可能性)が『蝶』になるか『蛾』になるか、蛹のままでいたいか。
それらについては次回で。

しかし妖奇士はキャラの表情も細かいな〜

*1:この時代は、情勢や身分によってかなり違いがあるけど