天保異聞 妖奇士 説三

ちょっと待った!
「あと10年もすりゃ、黒船ってのが来て・・・」だって!?
何で未来の事を知ってるんだよッ!
説一や必殺仕事人であった、いわゆる「ナレーション」なんだろうけどさ・・・まさか関わらないよね?
――最後の建設現場とかも気になるんだけど。
あの時代に「建物の周りを布(?)で囲む」なんて技術、使われていたのか?
あと、妖夷「列甲」のデザインも明らかにおかしい。
ようやくリボルバーが出来た辺りで、まだまだ戦場は刀が主流のはずなのに、こいつキャノン砲を連ねた姿だろ。
さすが異聞なだけあって、何が起こるか分からないな・・・
奇士達が妖夷を食うのって・・・只の趣味かよッ!
とは言っても、別に狂った所業でもない。
人間はより便利な暮らしを、より良い食事を欲するもの。
だからこそ「向上心」というものがあり、競争し高みを目指す。
――しかし、江戸元閥が言う通り「上」を知ってしまったら、もう元には戻れない。
「自分にとって良い環境」を知ってしまったら、その現状を維持しようとするし、失ったら取り戻そうとする
・・・往壓が現世の食事に満足できず、妖夷の肉を求めた様に。

ふむ・・・確かに往壓の言う通り、異界と関わると色々なモノが奪われるな。
今回の老人の様に、変な欲望に駆られたり、往壓の様に「現世で生きる為に大切なモノ」を失くしたり。
――おそらく、両方に共通している事はこの世に存在しないモノを求める事
存在しないから・・・その欲望が無くなる事はない。
奇士達だって「妖夷の肉」という現世に存在しないモノを得ているわけだし・・・