ローゼンメイデン・トロイメント 第6話

水銀灯のマスター、メグは不治の病に蝕まれている。
死にゆく姿が文学的と言っているが・・・嘘だろうな。
「死」を文学的―――タナトス?―――と捉えられるのは、死に近くない人間だけだ。・・・「死」の実感、本質を感じてる者はそんな事は思わない。
食事を摂らない理由は――少しずつ死に近づく為だろう。鬱状態の自殺志願と同じだ。
メグの望んでいる天使は死神・・・サリエルと言ったところか。
水銀灯復活!
水銀灯を「死の天使」だと思い、本音が出るメグ。
「お願い、私を連れて行って。・・・もう、ここに居たくないの」
食事を摂るようになったメグ。――もはや食事を拒否して、死に近づく必要も無くなったからだろう。・・・水銀灯が力を使ってくれれば、確実に死に近づけるのだから。
アリスゲームは――アリスは、他のドールのローザミスティカを奪い、一つにしなければならない。つまり、全てのドールが集まらなければ「真の」アリスゲームは始まらない。*1
・・・水銀灯はローザミスティカを奪われていない。
だから・・・その為だけに蘇らせられたのだろう。生け贄として。
蘇ったが、前回の事を忘れている水銀灯。
だが、潜在意識には残っている様で、思い出す為にnのフィールドへ向かう。
そして思い出し始める、前の戦いの記憶。
突如現れる薔薇水晶。水銀灯に攻撃をしかけ、水銀灯も反撃をするが全く効かない。
突然、青白い光に包まれる水銀灯。――それは水銀灯のミーディアムの力だった。
薔薇水晶のバリアを貫く攻撃、だが・・・その青白い炎で思い出してしまう。・・・前の戦いの全てを。
真紅と戦った事。そして――自分は敗れ、破壊された事を。
薔薇水晶が言うには、ローゼンメイデンを直せるのは父様――人形師ローゼンのみ。
・・・ローゼンは何故水銀灯を直したのだろうか?
水銀灯にも幸せになって欲しかったのだろうか? それとも・・・やはり生け贄として蘇らせたのだろうか・・・?
いつもの様に真紅の夢に現れる水銀灯。
真紅も、水銀灯はもう居ない事を認めようとしたが――その水銀灯は幻ではなく、本物だった。
水銀灯が蘇った・・・その事に涙する真紅。そしてずっと言いたかった言葉を伝える。
「――あなたのことを、ジャンクなんて呼んで悪かったわ」
自らの過ちを認め、謝る真紅。初めからジャンク――欠陥品、間違ったモノなんて無い。自分を受け入れてくれる者が居れば、誰もジャンクにはならないと。
水銀灯が力を短時間使っただけで、危険な状態になるメグ。
初めは5才まで生きられないと言われた。次は7才。次は・・・
生まれた時から死と共にあった人生。死にそうな躯。
積み重ねられたモノなど無く、未来は闇に包まれている・・・
自らの躯を欠陥品――ジャンクというメグ。
だが水銀灯は「自分の事をジャンクなんて言うもんじゃない」と諫める。
自分を卑下せず、せめて自分だけでも「自分」を認めるべき、ということだろうか?
――それは、以前の水銀灯が望み、出来なかったこと。自分を高貴な者だと思い、自分が父―――他人―――に認められる存在になる為に戦った。
・・・自分で「自分」を認められなかったから、他人に認めて貰おうとした。
・・・メグと出会い、真紅に認められた事で、水銀灯も変わったのだろう。

*1:目覚めるのが何十年という単位でずれる為