みえるひと 第十四譚

幼い頃の彼は居場所が無かった。
誰とも知らない親戚の家。そして共有出来ない『世界』―――本当の孤独を味わっていた。
そして、こちらの意思などおかまいなく触れてくる「化け物」。
・・・やがて、その孤独と恐怖は、憎しみに変わった。
青年になった彼は、不良になっていた。
度重なる喧嘩。そして異常な程の「触れられる」ことに対する怒り。
そしてその憎しみは、『周り』という環境と、化け物―――幽霊に向かっていた。
だが、あの男は彼に段々と近づいていた。
「いつも」のように、幽霊狩りをする彼。
自分を恐怖に陥れた存在を、彼は全て消し去ろうと思っていた。
だが、今日の獲物は今までと違い、ヤバイ奴だった。
それでも・・・いや、逆に、生命を脅かす存在だからこそ、彼は楽しかった。
そして、彼の前にあの男は現れた。
彼が苦戦した「陰魄」を、一瞬で消し飛ばす男。
それが彼とあの男―――明神との出会いだった。