交響詩篇エウレカセブン 第25話

何時からだ? どこからか分からないけど、「絶望病」は「本人ではなく他人」というイメージがあった。
きっとどこかに、そう思わせる描写があったんだろうけど―――思い出せない!
直接的ではなく、間接的な描写だったのかもしれない。だから「どこ」かが分からない。
もしかすると「それ」は人の絶望を描いた17・18話だったのかもしれないし、レントンが絶望に落とされた20話だったのかもしれない・・・

本編

空腹と疲労で倒れたレントン
そんな彼を助けてくれたのは、絶望病の妻を持つウイリアムという男だった。
・・・絶望病の妻の夫の名前がウィル(will=未来・意志)というのは、対比か皮肉のどちらだろうか。
パイルバンカーが狂った様に刺さっているのは何故? もしかして此処って、昔コーラリアンが出現した場所なんじゃ*1・・・
そう考えると、故郷に帰ってきた時の荒れ果てようも、マーサが絶望病に罹ったのも納得出来るんだけど。
そうなるとトラパーは一定濃度を超すと危険なのではなく、元から危険なものなのでは? いつもは毒(トラパー)が薄いから気にしないだけで・・・。
ふと思った事。絶望病の人って魂魄ドライヴを介して「何か」と交信しているか、CDを観測し続けて居るんじゃないの? もちろん交信相手or観測させているのはトラパー―――コーラリアンですよ。
それと、エドモンド*2とマーサの症例から推測するに、魂魄ドライヴはトラパーを集める―――呼び寄せる?―――性質があるみたいだな。
パイルバンカーを一撃で倒すウィル。―――直死の『点』でも見えてるんだろうかね。
たぶん一番脆い点(部分)を反響音とかで探し当ててるんだろうけど・・・
パイルバンカーを抜く事により、逆に地殻変動を操っているのか!?
たぶん、ヘタに抑え続けるよりも、どこかで「ガス抜き」した方が安全なんだろう。隆起しない様にするよりも、隆起をコントロールすることが重要って事か。
ウィルは語る。人は大地に生かされている。『自然』の恩恵よりも大きな力を欲するならば、何かから―――例えば大地から―――奪わなければならない、と。
納得出来ない様子のレントンに、息を吸う様にウィルは言う。
戸惑いながら深呼吸するレントン。・・・吸い込んだ風は草の匂いがした。それは今のレントンを取り巻く世界が自然に満ちているという事。その瞬間、確かにレントンは世界を感じた。
言葉では語りきれない現象。それを表すには体験するのが一番良い。・・・まさか14話の話が繋がるとはな〜
「息を吸う事は、それだけ死に近づく」―――どういうつもりでウィルは言ったのだろうか?

  • 息を吸えば心臓が動く→心臓が脈打つ回数はある程度決定している→拍動回数を減らす呼吸は、死に繋がる行為である。
  • 上の仮説に近いが、呼吸をすると言う事は生命活動を活発にする→生命活動の活発化=細胞分裂の活性化→細胞の寿命が早く切れる→死に繋がる
  • 呼吸によってトラパーを吸収していく→トラパーは『毒』である→死に繋がる
  • 呼吸=生きようとする行為→「生きていく」ことは、死に近づいていく事と同意

・・・3番か4番が近い気がするな。
ウィルの行為の痛々しさに、レントンはマーサが絶望病だと告げる。
しかしウィルは、自分が絶望していないから、マーサは絶望病ではないと断言する(詳しくはに)。
「辛くありませんか?」と問い掛けるレントンに、ウィルは「キミにはいるかい? 世界の終わりが来ようとも、一緒にいようと思える人が」と逆に問い掛ける。
そしてレントンは見た。マーサがこちらを向いて微笑む姿を・・・。そしてその姿に、エウレカの微笑みが重なる。
・・・本当(現実)は、マーサは微笑んでないのかもしれない。
でもレントンは、微笑んでるのを見た(観測した)んだ。だからレントンにとっては「マーサが笑った」事が『真実』なんだ。
―――そしてレントンが観た『世界』こそ、ウィルが見続けている『世界』なのだろう。
エウレカと会う為に旅立とうとするレントンに、ウィルが「彼女は待っていないかも」と問い掛ける。
それはそのままの意味でもあり、「エウレカレントンに興味なんて無いかも」という問い掛けでもある。
そしてレントンは「はい」と答えた。エウレカの為に行くんじゃない。レントンが会いたいから、『勝手に』行くのだ―――今までの様に。
今までと同じ行動。だけど精神的には違う。「自分の我が侭」を貫く『覚悟』も、それに対する『意味』も知っているから。
荒野に立つレントン
静かに右手を挙げ、トラパーの流れを探る。
そして―――魂魄ドライヴが付いていないリフボードでトラパーに乗り、旅立っていくのだった。
・・・え〜 魂魄ドライヴって、全ての機械に必要なんだよね? 無いと機械が動かないんだよね? んでもってリフボードも機械なんだよね? だから魂魄ドライヴが盗られてから乗ってないし、乗ってる時も魂魄ドライヴの残量(?)を気にしてたんだよね?
・・・無くても乗ってるじゃんっ!
推測だけど、リフボードに付いているCDは「トラパーの集積・トラパーのコントロール」をしていたんだろう。そしてボード自体はリフレクション・フィルムでコーティングされている。
つまりCD無しでも構造的にはトラパーに乗れるのだろう。ただ、トラパーが薄い所は無理だし、何よりも見えないトラパーの流れに乗らなければならない。
言うなれば、目隠しをして、耳を塞ぎ、全身を宇宙服で包んだ状態でサーフィンする様なものだ。
ぶっちゃけ、常人には無理!
このレントンの成長―――というより進化は、例えるなら「鋼の錬金術師」で『真理』を見た人と、見てない人ぐらいの差があるな。

絶望病

絶望病の人は呼吸数が極端に少ない。
肉体維持に最低限必要な分しか呼吸していないのか? あるいは他の方法でエネルギーを得ているのか? ・・・光合成とか。
絶望病になった人は、もう「絶望」なんてしない―――心が死んでるのだから。
ならば誰にとって絶望なのか? ・・・答えは「近しい者」だろう。
そして他人の心なんて、チューリング的にしか確認出来ない。声も姿も脳が生み出す幻覚だ。
ならばウィルにとってマーサの声が聞こえて、表情が変わっているのなら、まだ心が在ると思えるのならば、マーサに心は在るのだろう。
そして「近しい者」を絶望させるのが「絶望病」だと言うのなら、ウィルが絶望していなければ、マーサは「絶望病」ではない。
以前に書いた絶望病の予想は半分正解ってところかな。

追記

その他の人々

レントンを探すホランド
とりあえずレントンの(本当はムーンドギーの?)バッグを取り返す。描写が細かいなぁ。
住民から情報収集をし、レントンがキツネみたいな美女とタヌキみたいな親父と一緒だと聞き、真っ先にレイ&チャールズに思い当たる。
どうやらチャールズはホランドが軍にいた時の先輩で、ホランドもそれなりに懐いていた感じだったらしいが・・・。最後の悪人面のチャールズが銃を構えるシーンは何があったのだろうか?
州軍の動きが活発になっており、ようやく月光号が追いつめられている事に気が付くが・・・間に合うのか!?
レントンが居なくなって、喪失感・寂しさを覚えるエウレカ
これは再会の時が楽しみだな〜
レントンとの約束通り、月光号に仕掛けようとするチャールズ。
レイも言ってるけど、本当に残虐というか、非道いよな。叶って欲しくない「悪意ある」約束なのに・・・
レントンはそれでも戦うのだろうか? ・・・ビームズ夫妻を殺すのだろうか・・・

*1:コーラリアンが発生した地域はスカブが異常に成長するとの事

*2:リフレクション・フィルム職人