みえるひと 第五十五譚〜最終話

ここ最近、神の出来だと思ってたら・・・そういうことですか。
より一層、ジャンプがどうでもよくなった。
http://jump.shueisha.co.jp/revolution2/で書いてくれないかな・・・。和月伸宏かずはじめもいるし。
まぁ、とりあえず本編の話しを。

キヨイについて

パラノイドサーカスのリーダー、キヨイ。
バフォメットのキヨイ
「バフォメット」とは、あの有名な山羊の頭を持った悪魔*1の名前で、「みえるひと」では山羊達にとっての神らしい。
その存在理由は人類への復讐。
彼等――山羊は有史以前から人間に搾取され続けていた。
人間にとって「家畜」である彼等は殺して当然の存在。*2
・・・何千年も虐殺され続けてる山羊達。
彼等にとって人間とは悪魔そのものだった。

そんな山羊達の想いの―――憎しみの―――結晶であるキヨイ。
キヨイ自身も、生前は人間によって生き地獄を味あわされている。
だけど・・・そんな彼が望むのは、みんなと共に居ること
「バフォメット」で在ることなんて関係無く、たったそれだけのささやかな願い。
ただ・・・人間達が絶対的な「悪」だから、全て滅ぼさなければいけないだけ。
何せ人間達は、罪悪感をこれっぽっちも持っていないのだから質が悪い。
だからキヨイ達、パラノイド・サーカスにとっては、害虫を駆除する様なもの。
人間だって、ゴキブリを死滅させる事に何も想わない。
・・・彼等にとっては「それ」と同じなのだ。

陰魄と陽魂

やっぱり僕らの岩代俊明先生は期待を裏切らなかった!!
ちゃんとこの問題を扱ってくれた事が、本当に嬉しいです。

コモン戦の時に焔狐を取り込み、此度の戦いにて自分の「力」として利用するガク。
・・・そんな化物の様な事、陽魂には不可能なはずなのにッ!
ガクは語る。
「陽魂と陰魄に違いなど・・・無い」、と。

何故、陽魂が陰魄より弱いのか。
それは未練という理性によって存在しているからだ。
その理性故に、陽魂は「常識」という法則から抜け出す事が出来ない。
物理法則から外れられても、せいぜい壁を抜けたり浮いたり出来るだけで「生前に持っていた『幽霊』の常識」から外れる事は出来ない。
だが陰魄は違う。
負の感情によって生まれた彼等は、人や生前の姿である必要は無い。
手段を問わず、目的を達する為だけに存在し、理性さえ捨てた陰魄は「常識」に縛られない。
故に「常識」では考えられない姿をし、力を持つ。

・・・ということは、陽魂は陰魄に決して勝てないのか?
その答えはNO
陽魂が陰魄に及ばない理由は、「常識」を捨てられないから。
ならば「常識」を捨てればいいだけだ。
――そもそも陰魄も陽魂も、霊魂というエネルギーの塊であり、同質の存在。
元の性質から言えば、どちらも「常識」に縛られないのだから。

とは言っても、グレイの言う通り「常識」は簡単に捨てられるモノじゃない。
陰魄であっても、「力」の為に全てをかなぐり捨てる覚悟――それなりに強い負の感情が必要。
ましてや「人」で在りながら超越しようなんて・・・量子力学や「イデア」等の存在を100%信じる事に等しい。
さらに「人間」である冬悟が至ろうとするなど・・・それこそ狂人か、中国の仙人思想レベルの話なのに。

しかしその事に気付き、実戦するとは・・・ガクは本当に天才なんだな。
流石は全国模試の数学で1位をとっただけあるよ!

明神冬悟が桶川姫乃に望む事

「フツーに親と暮らして!!! 学校行って!!! 友達作って!!! それで良いんだ!!! それがオレの願いだ!!」
どれもこれも、冬悟にとっては叶わなかった夢
そしてそのほとんどが・・・もう叶える事の出来ない夢。
肉体に影響を及ぼす程、魂が大きかった冬悟。
それは今、大切な人達を守る力となり、「霊」という「誰にも識られない存在」を救う力となっている。
だけど・・・同時に「常識」内で生きる事が出来なかった元凶でもある。
奇異な才能と外見は、それだけで社会から排除対象となり、その能力は学校などの「霊的な場所」での生活に支障をきたしたであろう。
そして・・・観る「世界」が違う為、先代明神が現われるまで真の理解者は存在しなかった。
だからこそ冬悟には解る。
それが、一生を費やしてもいいほど、掛け替えの無いものだと・・・

それと・・・キヨイがその願いを馬鹿にするのは、オカシイと思うぞ。
個人とコミュニティの違いこそあれ、「普通の平和な生活」を望んでいるのはパラノイド・サーカスも同じだろうに。

――以上!
みえるひと」については、ひとまず終了!
あとは、「常識」を破り、また1から「みえるひと」が始まるのを待つのみッ!!

*1:モーゼが十戒を取りに行った時、不安になった人々が崇めてた神だっけ?

*2:聖書でさえ、山羊は「搾取される動物」と定義されている