交響詩篇エウレカセブン 第38話

エウレカには親もなく、家族さえ居ない。だから家族に対しての情なんて分からない。
ましてや『情』というものを識っているかも分からない。・・・エウレカは人間ではないのだから
そんなこと、レントンにだって分かってたはずなのに・・・

突如、首都が抗体コーラリアンに攻められ、動揺を隠せない「世界」。
だけど・・・突然なんかじゃない!
スカブコーラルに攻撃した場合、抗体コーラリアンが出現するまでの時間、現われる場所は、全て解析済み。
――デューイは、抗体コーラリアンの出現を操れる。
だが、その事を民衆は知らない・・・

性に目覚めた(?)レントンを茶化すマシュー、ヒルダ達。
・・・だけどこれって、マシューが言う通り重要な事じゃないの?
好きになれば相手を求め、深く繋がりたいと思うのは「人」として当然の事だ。
人間の女性なら、好きな人の子供を産みたいと思うのは当然の事だと思う。それは感情より、本能に近いのだから。
現に・・・レイ・ビームスはあんなにも望んでいたではないか。・・・狂う程に。
実はムーンドギーよりも遥かに無力感を感じていたストナー。
デューイに「真実」を聴かされた「世界」。それに対抗するには「真実」を持ち出せばいいが・・・それでは駄目なのだ。
結局イタチごっこになり、「真実」は薄れその効果を失っていく。
それでは人々に真実を説くストナーの試みは失敗に終わってしまう。
そしてストナーが出した物は、1枚の写真だった。
レントンエウレカ、二人が一緒にリフボードに乗った姿。――人間とコーラリアンが共に笑い合っている姿。
人とコーラリアンが分かり合える事。コーラリアンも「人」で在ること。様々なメッセージがその写真には込められていた。

レントンにとって父―――アドロック・サーストン―――は嫌な存在だった。
父親は、レントンが物心ついた時から研究室に籠もっていて、ろくな思い出がない。
そして「英雄の息子」として常に比較され続けた存在。・・・レントンにとってアドロックとは、他人が使う嫌な「物差し」でしかなかった。
だけど本当は違った。
アドロックは家族の事を、レントン達のことを愛していた。
それを証明したのは・・・皮肉にもサマー・オブ・ラブだった。

レントンが知らない父親の姿。
エウレカにとってアドロック・サーストンは父親の様な存在だった。
色んな事をエウレカに教え、共にニルヴァーシュを操縦していたアドロック。
・・・だが、あの災厄―――サマー・オブ・ラブ―――が起きた。
サマー・オブ・ラブを起こしたのはニルヴァーシュエウレカだった!
もしかすると・・・アドロックだけは高次元の世界、第10官界へ進む事が出来たのかもしれない。
だが、その時のエウレカはまだ何も知らず・・・「くだんの限界」を起こす可能性が非常に高かった。
そしてアドロックは、エウレカよりも―――いや、世界よりも―――家族を選んだ。
そして世界は救われた。・・・だからこそアドロックは英雄なのだ。

ついに三賢人――王を簒奪するデューイ。
二人は殺され、一人はデューイに跪いた。
世界の幸せを望み、あえて真実を隠し続けた三賢人。・・・彼等自身は幸せだったのだろうか・・・?