ローゼンメイデン・トロイメント 第9話
「アリスゲーム」の為に1体1の戦いにこだわる蒼星石。
だが水銀灯はローザミスティカを手に入れる為、確実を期そうとする。
――水銀灯と蒼星石には、明確な動機と目的の違いがあるな。
目的
蒼星石の目的は、「お父様」の為にアリスとなること。
水銀灯の目的は、めぐの為にローザミスティカを手に入れる事。
・・・水銀灯の方が、よほど「人間らしい」と思えるのは気のせいか?
家の外を「nのフィールド」に変えたのは・・・やはりローゼンか?
となると、遂にアリスゲームに直接関与し始めたのだろうか?
「ゲーム」と言うのならば、各人形の能力*2に圧倒的な差は無いはず(薔薇水晶だけは例外な様だが・・・「進行役」だからか?)。
確かに「ローゼンメイデン」の頃は、水銀灯の力は圧倒的に見えたが――実際に正面から戦って勝った事は無い。
だから水銀灯が蒼星石に勝てたのは、その意志の強さ・・・「想い」だと信じたい。
翠星石の庇護から離れ、独り戦う蒼星石。
――これは蒼星石の「翠星石=母性」からの独り立ちを表している。
だが蒼星石はアニムスの象徴で、本来独立して存在するものではない。
アニムスには対・・・アニマの存在が必要不可欠であり、翠星石こそがアニマの象徴だった。
独り立ちしては存在出来ないモノ・・・故にアニムス=蒼星石は消えてしまった。
本来なら、翠星石も蒼星石=アニムスを失った事により、存在出来ないはずだったが・・・翠星石にはジュンという「別のアニムス」*3が存在していた。
これは蒼星石の「キミは1人で歩ける強さを・・・もう、ちゃんと持ってる」という言葉からも推測される。
「1人」と「独り」は違う。
――蒼星石は強かったから、戦ったのではない。
最後の言葉通り・・・蒼星石は弱く、「お父様」の存在がなければ自分の存在目的さえ見付けられなかった。
そして、ジュンを中心として成り立っているコミュニティ故に、「ジュン<お父様」だった蒼星石は意識下では「独り」だった。
だけど翠星石はジュン、そして皆が居るから「独り」ではなかった。
支えてくれる誰かが居る。だから翠星石は「1人」で立つ事が出来たのだ。
薔薇水晶のアリスとしての資質は何だ?
その「力」と立ち居振る舞い、そして知性。・・・だが感情は? 「お父様」にプログラムされた自我なんかじゃなく、経験によって培われた「自分」はあるのだろうか?
それとも・・・無は完全と等しいという事か?
いや・・・ローゼンの目指すアリス=ゼルプスト(自己)は、薔薇水晶に近いのかもしれない。
「自分」など持たず、自分に都合が良い様に働く「自我」。
・・・まさしく人形そのもの。
・・・なんとなく、ローゼンの「アリス」像で忘却の旋律の「忘却の旋律」を思い出した。
あれは逆で、「偶像」だと思っていた存在が「他の観測者」だったけど。