ノエイン もうひとりの君へ 第9話

「お前は・・・俺だからだ!」
ついにユウに明かされる事実。しかしユウは当たり前だが、信じられない。
ユウに――昔の自分に「戦う勇気を持て」と言い放つカラス。
逃げれば負ける・・・何に? 「運命」か?
――きっとカラスは、ユウに戦って欲しいのだろう。己と、・・・そして『世界』と。
もしかすると・・・カラスは、それが出来なかったのかもしれない。
美有樹の突然の訪問に動じない明日香。
あしらい方も分かってるみたいだし、さすが親友だね。
酔っぱらって明日香への高校時代の愚痴をこぼす美有樹。
美有樹は姉に「劣等感」を持っているのではなく、憧れを持っていたらしい。
完璧で、非の打ち所がない姉。・・・だからこそ、母親は美有樹よりも、姉の方を溺愛していた。
姉に対する尊敬と、羨望。母親に対する不満。
――精神障害者の親も精神障害を患っているケースが多いと聞くけど、正にそれだな。親の心子知らず。子の心親知らず。
美有樹はユウの事を『本当』に愛している。
だからこそ、ユウなら理想の人物に―――姉の様に―――なれると信じている。
何故、母親が自分と伯母さんを比べるのか分からないユウ。2年前に一体何があったのか?
「それ」を聞き出そうとするハルカ。もちろん嫌がるユウ。
――そう、普通は親の内面を聞き出そうとは思わない。遠ければ寂しく、近いと煩わしい。それが家族。
だからこの行為は「完璧な」親離れ、親を他人として見る事であり、それがユウが助かる方法の一つだった。
ユウを連れて美有樹に問い掛けるハルカ。
――美有樹は、「2年前」から自分がおかしくなったことに気付いてなかったのか。
それに、この反応を見る分に、それはトラウマになっていたのだろう。
・・・逆説的に言えば、トラウマだからこそ気付いていなかった――気付きたくなかったのか。
「竜のトルク」の力により「過去」に飛んでしまう美有樹!
その世界を「観測」する事は出来ても、他人に干渉する事は出来ない。・・・微妙に次元がずれているのか? それとも「抽象的自我」のみの存在になっているのか?
はたまた、「美有樹の記憶に存在する過去」がビデオテープの様に再現されているだけか?
窓は開けられてる事を考えると、再現されてる可能性が一番高いかな。
人の想いは時空に干渉する――量子に干渉する力場を生み出す。
その現象は、通常は時たま起きるぐらいらしい。
また、想いが時空に干渉するというのは「人の想い=抽象的自我」が「時空に干渉する=並行宇宙が生まれる*1」という事だろう。
・・・カラスの態度から推測するに、その現象が自分の意思で起こせて、他の観測者にも影響を与えるのが「竜のトルク」なのだろう。

美有樹も中学生の時に家出しようとしていたのか・・・。
その頃の母は、死んだ姉の事で頭がいっぱいで、自分の存在など忘れられていると思ってた。
でも本当は美有樹の事も気に掛けてた。家出をした事もとても心配して、明日香の家まで訪ねに来ていた。
・・・美有樹も、母親の事を理解していなかったのだ。
そして「母親に子供が望む事」も、大人になって忘れてしまっていた。
ハルカがついに、自らの意志で「竜のトルク」を発現させた!!
現われるウロボロス そして作られていくウロボロスの環」!!

過去に惹かれ、「母親」としての自己を失い「中学生の自分」へと変わりそうになる美有樹。
・・・あの時、ハルカが助けに来なかったら、どうなっていたのだろうか?
やはり「中学生の美有樹」となり、違う並行世界に固着していたのだろうか? ・・・そして、ユウ達の時空からは姿を消してしまっていたのだろうか?

*1:その1人の観測者の立場から見て、並行世界が一つ生まれる