ローゼンメイデン・トロイメント 第8話

今回は日常(ギャグ)とシリアスシーンの差が激しいな。
まぁ、わざと日常を無邪気で楽しいものにしているんだろうな。
水銀灯に「死」を求めるメグ。
・・・メグを見捨てる事に罪悪感を持ち、「付き添い」という「免罪符」を得ようとする両親。
その本心は・・・メグが邪魔だという事だろう。
そして、そのことにメグは気付いている。
誰にも望まれない――むしろ足枷となっている生。今にも消えそうな、絶望と不安に囲まれた生命。
・・・メグが絶望するのも無理はない。
だが、そんなメグに「本当にこのままで良いの?」と聞く水銀灯。
負の感情を強く持つが故にローゼンに捨てられた水銀灯。だが、負の心を理解している水銀灯だからこそ、メグを理解出来るのだろう。
――やはり、「真に完全なモノ」=アリスとなるならば、水銀灯の様な存在も必要だと思うが・・・ローゼンはそれが分かってないな。
ジュンに槐が人形を創っている所を見せる白崎。
――人形の部品・製造工程を見て、「人形=物」という認識を改めて感じるジュン。
「人形」は『物』だけど、『心』を持つ「ローゼンメイデン」は物・・・CLANNADで言う所の「非観測者」と言えるのだろうか? ・・・抽象的自我を持つというのに。
槐が作る人形に「emeth」らしき文字が。
真紅の言動や、今までの事を考えると、人形師ローゼンは錬金術を学んでいたのかも。
ローザミスティカが有れば、メグを助けられる、と水銀灯を唆す薔薇水晶
初めて水銀灯が自分の為ではなく、他人の為に戦おうとしている。
――しかし、その為には姉妹を、自らを認めてくれた真紅の幸せを・・・しいては、ジュン達の幸せを壊さなくてはならない。
もしメグが、この事を知ったらどう思うだろうか? また、水銀灯がローザミスティカを持ってきたらどうするだろうか?
・・・きっとメグは、身体が治る事を喜ぶだろう。
そして、「自分なりの言い訳」―――死んだ者の分まで生きるとか―――を考え、ローザミスティカを使うだろう。
・・・正直な話、自分も鬱病が完治するならば、面識の無い人間なら殺してでも治りたい。――本当の絶望とは、「死」を望む程の絶望とは、そういう事だと思う。
メグもまた、水銀灯以外のローゼンメイデンとは面識が無い。
つまりは「対岸の火事」なのだ。他人が手を下そうとも、自分が手を下そうとも。
そして、その心境を水銀灯は分かっているのかもしれない。
・・・自らを「ジャンク」でなくす為に、他の姉妹を殺そうとしていたのだから。
DOLL達にとって「お父様」は、元型で言うところの「グレートマザー」と、父性*1を足したイメージな様子。
しかし、ローゼンの性格や顔といった具体的な事は憶えていないらしい。
・・・そのイメージ自体、ローゼンに植え付けられたものではないだろうか? そもそも具体的な思い出が無いのもおかしいな・・・。
それに、イメージや感覚といった「抽象的な存在」では、ジュンという「現実的な存在」を上回ることは不可能だと思われる。
所詮ローゼンは「過去の人」であり、「思い出のみ」の存在なのだから。
『扉の世界』にて「お父様」を捜し回る蒼星石
――色んな場所、色んな人の意識に繋がっている『扉』。
鏡の中にある事と、『扉』の事を考えると、この世界が「nのフィールド」なのだろう。
『扉』の中で悲しみ、泣いているローゼンと出会う蒼星石
薔薇水晶が言うには、「永遠」を生きても、「アリス」が見つからない事に悲しんでいるらしい。
・・・はっきり言って、知った事じゃないよな。
要は、異常に理想が高い女性を探し続けて、勝手に悲しんでいるだけでしょ? しかもその為に―――自分の欲望の為に―――真紅達DOLLや、ミーディアム達を苦しませている。
・・・それでも、蒼星石にとって「お父様」は一番大切な人に違いはない。
結局、蒼星石翠星石達の違いは、ジュンの存在だろうな。
真紅や雛苺翠星石は「ジュン」という、「『今』近くに居てくれて、大切に想えて、自分を大切に想ってくれる人」に出会えた。
だけど蒼星石は違う。
ジュンは知り合い程度だし・・・何より契約者ではない。
他のDOLL達は ジュン>ローゼン に成りうるけど、翠星石にとっては ローゼン<<<<ジュン の不文律は変わらない。
だからその行動原理は「ローゼンの為」になってしまう。
つまり、「お父様」の悲しみを癒す為ならば・・・
槐に「思っていたのと違う人形」――「失敗作」はどうするかと訊くが・・・槐の回答は、破壊という行動で表された。
しかし、それでも人形への『想い』は等しいと言う槐。
人形に対する『想い』は等しい。――だが、人形の『想い』は等しいのか?
同じ目的=『想い』で作られた人形・・・ローゼンメイデン達。
だがローゼンメイデン達は「同じ想い」=「同じ自我」ではない。「真紅」は「真紅」だし、「蒼星石」は「蒼星石」と別々の自我を持っているではないか。
愛情を注ぎ続ければ、人形達は存在出来る。愛情を失えば「迷子」になってしまう。
――ここで「存在」についてリンクするか!
だが槐の言っている事は、DOLLを「存在させる」けど、DOLLに存在意義を与えるモノではなく、個々の自我を認めるモノでもない。
そして、ついにジュンは槐に「人形師ローゼン」を知っているかと訊く。
「愛情は残っている、注がれている」と言うが――その愛情はDOLL達の『個性』に向けられたものか? それとも「アリスを生み出す為の生け贄」に向けられたものか・・・
皆に宣戦布告をする蒼星石
ローゼンメイデン」は戦う運命と言う蒼星石。その意思が固い事を知り、真紅は説得を諦めるが・・・翠星石は違った。
蒼星石の意思も、ローゼンの意思も関係無い。何であろうと蒼星石と――双子の姉妹と戦う事は出来ない、と。
そして、その意思は翠星石だけではなく、みんな一緒だとジュンは代弁する。
ローゼンメイデン」達の何が不完全なのか? そもそも完全とは――アリスとは何か? ・・・アリスは本当に必要なのか。
不完全なモノ全てを否定し、完全なモノのみを認めるのならば・・・人間だって例外ではない。
不完全故に完全を目指し、ヒトは成長していくモノであり、「完全」には決して成れないからこそヒトは存在し続けるのに・・・

「アニマ」と「アニムス」

アニムス(アニマ)の定義について調べていたところ、こんな記述が!

アニマがつながりを求める「エロス」として表現されるならば、

アニムスは裁断の能力を持つ「ロゴス」として表現されます。

これって、まんま翠星石蒼星石に当てはまるね。

  • アニマ →生命的要素を持ち、つながりを求める→「モノ」を育み、ツタ(絡まり=繋がり)を操る翠星石
  • アニムス→選択的特徴を持ち、一つ一つ切断しようとする→選択を求められ、鋏(裁断)を持つ蒼星石

となると、アリス=自己*2か?

*1:オールドワイズマンとは少し違う気がする

*2:すべての「元型」が重層的に統合され、たたみ込まれたもの