ガン×ソード 第16話

改造されてから初めて―――復讐者になってから初めて、『死』を怖れるヴァン。
オリジナルセブンとなった強さと、カギ爪の男に対する憎しみで、今まで「自分が志し半ばで死ぬ」なんて考えてなかったんだろうな。
だが、ウーという存在が現れ、自分も「死ぬ時が来る」事を実感したのだろう。
熱を出して寝込むウェンディを介護するヴァン。しかし頭の中は3日後・・・ウーの事でいっぱいだった。
・・・逃げるべきか、戦う―――死ぬ―――べきか。
昔、ウェンディが熱を出した時は、こんなに心配してくれなかったよな。あの頃よりも親しくなってるというのもあるんだろうけど・・・逃避行動か。
ウェンディもそれが分かっている様子。
―――街には鎮魂の鐘が鳴り響く。
ウー、真性のマザコンだったと発覚。しかも父親はカギ爪の男らしい。
カギ爪の男=父親に嫉妬したウーは、男を殺そうとしたが、母親が男を庇った事により母を殺してしまった。
それ以来、父を愛する事こそが母を愛する事だと思い、カギ爪の男の仲間になったらしい。・・・病んでるね
2日目の夜。耐えきれなくなったヴァンはウェンディを連れ、大きな街に行こうとする。
別にあいつと戦う必要なんてない。大きな街に行けば病院がある。今重要なのは目的地に行く事―――生きたいが故に逃げる事を決断したヴァン。
しかしウェンディは「逃げたいのなら、1人で逃げて」と拒否する。
ヴァンは自分の過去を語る。
ずっとその日暮らしで、荒んだ生活をしていたことを。
・・・そして、そんな人生をエレナやガドヴェドが変えてくれたこと、エレナと共に生きていきたかったことを・・・
自分の無力さに憤るヴァン。
自分は何も出来ない。愛する人を守る事さえ出来なかった。そして改造までしたのに、それでも何も出来ない。自分に出来るのは逃げること―――生きる事だけだと。
逃げたいのならば逃げればいい。誰もヴァンの事は責めない。
だけど自分は逃げない。兄が何をしようとしているのか確かめたい。自分の選んだ道は正しかったのか、自分の目で確かめたい。―――どこまでも自分の意志で生き続けたい。
・・・それはかつて、ヴァンがウェンディに教えてくれた事。
独り悩むヴァン。
自分は生きたい。だから仇討ちも止める。・・・エレナはすでに、何処にも居ないのだから。
そう、何処にも居ない。・・・ただヴァンの中に存在しているだけ。
―――ならば、もう何処にも居ないけど、心の中に存在しているのなら、常にエレナは自分と一緒に居るのではないか?
ヴァンがそう考えた時、ついにパズルが解ける。
―――街に祝福の鐘が鳴り響く。
覚醒するヴァン
ヨロイを操るのではない。ヨロイを肉体の延長と感じる―――自分がダンになるのだ。
『操る』なんてことさえ考えない、無の境地。それこそが「あの感覚」だった。
愛する為に母への想いを捨てたウー。
しかしヴァンは今でも想い続けている。愛し続けている。・・・自分とエレナを分かつ事など誰にも不可能なのだから。
完全にメッツァを圧倒し、難なく倒すダン。
流れ出る自分の血を必死に集めるウー。どうやらウーの血を使ってカギ爪の男は延命措置をしているらしい。
「血のストックはいっぱいありますから」 そう言ってウーの死を全く悲しまないカギ爪の男。
ヴァンを足止めし、「ウーとしての使命」を全うした事を褒めるだけ。・・・狂ってるな