まほらば 最終回SP

初めて灰原が喋った! しかも格好いいし。
きっと灰原は父親の様な感情で梢を見続けてきたんだろうな。
梢の他人格は、やはり「抑圧された願望」の現れらしい。
喜怒哀楽が激しくて、少しわがままな自分。無邪気で、誰かに甘えていたい自分。オシャレとか、女の子らしい趣味を持った自分。人見知りで、内向的な自分。
・・・全て、両親が死んでしまった事により、諦めなければならなかった事。それが多人格の根本なのだろう。
梢を「愛している」と明言する珠実。
まぁ、もちろん、ここでの意味合いは家族愛的なものだろうけど。
珠実にとって梢はかけがいのない人。唯一、心を許せる存在。
でも梢は、明らかに自分よりも、白鳥の事を好いている。
梢の幸せを何よりも願っているのは本当。でも自分が梢の一番で在りたいのも本当。
・・・結局、自分が一番梢に好かれているのが前提で、その上で梢に幸せになって欲しかったのだろう。
珠実はその事に気付いてるし、それが醜い独占欲である事も分かっていた。でも、どうしようもなかったのだろう。
だからこそ、傍に居てくれる事も、理解して貰う事も望まず、ただ梢の笑顔を望む白鳥には絶対に勝てない事を悟ったのだろう。
だからこそ、白鳥に鈴を託した。もっとも、完全には納得出来てないから、白鳥にあたっているが(笑)
解離性同一性障害の治療―――それは、多人格の消滅を意味する。早紀も魚子も、千百合も棗も全て消えてしまうという事だ。
だからこそ、珠実は梢を治療しようとしなかったのだろう。他のみんなを消していいものか、と。
そして灰原もまた、多人格を創り出す事で「両親の死」という悲しみを乗り越えた梢を治療して良い物かと悩んでいたのだろう。
自分に出来る方法で。ということで白鳥は「絵本」を描く事に。
そして途中まで出来た物を早紀に見つかってしまい、披露する事に。
白鳥が描いた絵本を梢達に見せる事―――それは、梢が多重人格だと教える様なものだった。
人格が変わりながらも、楽しく白鳥の絵本を見る梢達。
・・・記憶を共有している!? 無意識レベルではなく、内容を理解できるほどのレベルで!?
記憶が途切れず、連続して存在している。そしてその間も人格は何回も交代している。
・・・梢以外のみんなは「多人格」があることを、この時点で薄々と気付いているのだろう。
もともと、ポップアップしているということは、支配権を取り合っているという事。それならば、「自分」とは違う思考回路の存在に気付くだろう。(梢の場合は主人格故に、支配権をあっさり取れるので、今までも自覚していなかった可能性は高いが)
棗(達)の協力を得て話を完成させていく白鳥。
城・・・というのは梢の意識のメタファーだろうか? 出口も入り口もない城。誰かを一定距離から近づけず、自分も近づく事が出来ない、という。
さしずめ城壁はトラウマってところか。
多重人格の事を告げながらも、皆―――自分も心配している事を伝える白鳥。
しかし主人格は現れていても、意識を開こうとしない梢。
そこで白鳥は思い出す。
梢の根本的な悲しみ・・・。それは、いつかは誰もが去ってしまうという事だと。
だから白鳥は梢に伝える。いつまでも一緒に居ると。
その言葉でついに梢が目覚める。
後日談
梢の誕生日会を開く、鳴滝荘の住民達と色んな人々。
誕生日ケーキには梢だけでなく、早紀、魚子、千百合、棗の名前も。
結局、他の人格も梢の一部であると受け入れたのだろう。
解離していても、本人と周りが障害と思っていなければ、それは問題ではないのだろうな。
他の皆もなんだかんだで、まだ鳴滝荘に留まる事が決まってメデタシメデタシで終了。
初めは息抜きぐらいの感覚で見てたんだけど、意外と深みがあって楽しめたな。
漫画版がちょっと気になるカモ。