みえるひと 第十三譚

ハセの魄櫻を喰らい、絶体絶命のピンチ!
しかし、「明神」に教えて貰った『友引』の解決法を思い出し、魄を体内からひねり出して、なんとか助かる明神。
だが、そこまでが限界で、明神は倒れてしまう。
ハセから明神を守ろうとする姫乃。
ハセが「陰魄」と名乗った故に、「悪い霊」と言い放つ姫乃に、ハセは案内屋と陰魄について語り出す。
だが、「陰魄が悪とは限らない」と言うハセの言葉を無視する明神。
いつも笑顔を絶やさず、優しい口調の明神が―――乱暴な口調、深い憎しみと怒りの眼差しを向けている。
・・・陰魄だから。というより、ハセ自体に相当な憎しみを持っている様だが・・・
「夜にやろう」と言い残し、消え去るハセ。
―――明神が持っていた写真とハセ。明神の昔に何があったかを問いつめる姫乃。
そして明神の過去が語られ始めた―――

案内屋と陰魄

古来より霊と交渉し、排除する者―――生者に安寧をもたらす者を「安寧や(安寧だ)」→案内屋と呼んだらしい。
だが、安寧をもたらされるのは生者・陽魄だけであり、陰魄は一方的に排除される存在となっている。
―――陰魄とは本当に排除されるべき存在なのか?
陰魄とは人の負の感情から発生した存在である。
つまり、陽魄との違いは「魄」というエネルギーのベクトルが『たまたま』正反対なだけである。
また陰魄とは、生者が抑え続けたネガティブなものや、見て見ぬふりをしてきた事(差別や偏見、諦めや歪み)から生まれた存在である。
―――人が陰魄=悪霊を恐れるのは、人間が認めたくない、認めるわけにはいかないモノが具現化した存在故に恐れるのだ。